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(偽)謎解き編
1
猫屋敷追悼祭二日目、午後五時半。
ボクが子子子子さんの死体を発見したのが午後五時。あれから少しして、現れた嫩さんと死体や部屋を詳しく調べてから、食堂へやって来た。
それぞれが、自分の席に座る。
「子子子さんが、殺されちゃいました…」
凛が悲しそうな顔をする。
「落ち着け凛。次に誰が殺されるかわからない。今は自分の身を守ることだけに集中するんだ」
「その必要はない」
嫩さんが、断言する。
「必要ないって…嫩さん、どうしてそんなことがいえるんですか?犯人が分かったわけでもあるまいし」
「分かったさ」と、ボクを見て返す。
「犯人は分かっている。猫屋敷子鈴を殺害し、回り道迂曲を殺害し、子子子子子子子を殺害した犯人は」
嫩さんは、ゆっくりとボクに指を突きつける。
「お前だよ」
静寂が流れる。
「ボクが…犯人ですって?ふざけたことは言わないでください」
「ふざけてなんかいないさ」
「ちゃんとした証拠がある」と、嫩さんは続けて言う。
「証拠?ボクが殺したっていう証拠ですか?」
ボクはククク、と喉を鳴らす。
「なら教えてくださいよ。ボクが殺したって言う証拠を」
凛が怪訝な顔をしている。構うものか。
「まぁ、まずは迂曲の殺人から行こう」
嫩さんは続ける。
「迂曲が発見されたのは、今日の午後一時半。第一発見者は昼食に呼びに行った邪答院君。そうだね?」
「えぇ、間違いありませんよ」
ボクは余裕を持って返した。
「君が言うには、迂曲は発見時体温が残っていたため、殺されてからほとんど時間が経ってない。部屋の窓は内側から閉じられていて、扉からしか出られない」
「えぇ、間違いありません」
「だから、犯人は君しかいない」
「いつ殺したって言うんですか?ボクは回り道さんに会う直前には、嫩さん達と一緒にいました」
「あぁ、そうだね」
「だったら、殺す事は不可能じゃないですか」
「いいや、できる。簡単に、出来る」
「どうやってですか」
「迂曲を呼びに行った時に、殺せばいい」
再び、静寂。最初に口を開いたのは、凛だった。
「ちょ、ちょっと待って下さい。つまり、誰何クンは食堂で私達と迂曲さんを待っていて、誰何クンが呼びに行く。そして、部屋をノックして出てきた迂曲さんを、殺したと言うことですか?」
「大胆だろう?」そう言って嫩さんはニヤリと笑う。
「だがこうすれば説明が付く、不可能な訳じゃない」
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