1人が本棚に入れています
本棚に追加
「無理がありますよ。だったら、死体になんならの仕掛けをして、体温を保持すればいい。それなら、誰にだって可能だ」
その方が現実味があると、ボクは苦笑しながら答える。
「そうかもしれない。では、子子子の殺害へ移そう」
嫩さんは続ける。
「子子子さんの殺害なんて、それこそ誰何クンには不可能ですよ…」
「そうでもないさ」
凛の言葉に、嫩さんはそう返す。
「子子子の死。第一発見者は最寄君だね」
「はい」
「子子子の死体を発見した君は、悲鳴を上げた。そこに駆けつけたのが、邪答院君だね」
「そうですよ」と、ボクが答える。
「その後、最寄君は食堂にいた僕を、呼びに来た」
「だから、無理じゃないですか。誰何クンは、物置に閉じ込められていたんですよ?」
「出来るさ。これも邪答院君の犯行で説明で出来る」
凛が首を傾げる。
「よく考えてみてくれ。君が悲鳴をあげた時、駆けつけたのは邪答院君だ。だが彼は物置に拘束されていた。外側から鍵を掛けてだ。これがどういうことか分かるかい?」
凛がしばらく考えた後、答える。
「扉を壊して、出てきたって事ですよね?」
「その通りだ」
凛がそれがどうしたのだ、といった顔をする。
「邪答院君は扉を破壊して君の元へ駆けつけた。これがどういうことかと言うと」
「物置の扉は、破壊できたと言うことだ」
嫩さんは、少し間を置いてから、口を開く。
「つまり、邪答院君を物置に拘束する。その後食堂で僕等が今後の事を話しているうちに、扉を破壊する。そして偶然現れた子子子を捕まえ、気絶させる。鍵を使って中に入り、部屋に置いてあるナイフで殺害。後は部屋を出て物置に戻り、扉を立てる」
嫩さんは凛を、そしてボクを見る。
「これなら、犯行は可能じゃないか?」
「そんな…。私は誰何クンが扉を蹴る音を聞いています。間違いありません!」
凛が声を荒げる。
「別に扉を蹴らなくとも、壁を蹴ればいいさ。そうだろ?邪答院君」
「…さっきから聞いていれば、どれも推測や憶測でしか無いじゃないですか」ボクは苛立ちながら答える。
「ボクはそんなこじつけの推理を聞きたいんじゃありません。ボクは証拠を教えろと言ったんですよ?」
「そう焦るなよ。ちゃんと証拠はある」
「だったら勿体ぶらずに教えてくださいよ」
「服」
嫩さんはボクの体を指差す。
「着替えたんだね」
「…だから何ですか、何か問題があるんですか?」
「あるだろう」
最初のコメントを投稿しよう!