(偽)謎解き編

4/4
前へ
/19ページ
次へ
 完璧に、謎を解かずに解決へと導いた。  座って待っている。  十分程だっただろうか、階段誰かが階段を降りる足音が聞こえる。  コツ、コツと食堂へ近づいてくる。  ボクはゆっくりと体をよじって、音のする方を向く。  足音が姿を現す。 「おかえり、凛」  凛は微笑んだボクに近づいてきてーー。 「ばかぁっ!!」  思いっきり、頬を叩いた。 2  猫屋敷追悼祭二日目、午後六時半。  二人で摂る夕食。 「まったく…まったくもうだよ、まったくもう」 「そんなに怒るなよ」 「だって、だってだってだって~…」  凛はぶつくさとボヤきながら料理を頬張る。  無理もない。  ボクは凛の頑張りを、無駄にしたのだから。  即ち、子子子子さんの殺害。 「仕方ないだろ。あぁしないとお前、捕まってたんだから」 「そうだけど、それでよかったの!」 「よくねーだろ。ほら、早く食べ終われ。そろそろ出ないとまずい」 「分かってるよ!」  ガツガツと平らげていく凛。 「なぁ、凛」  口いっぱいに詰め込んだ料理を咀嚼しながら、凛は首を傾げる。 「ボクのために、ありがとう」  凛は、目を丸くしたかと思うと、慌てて口の中の物を飲み込み始めた。  急いだせいかむせこむ。 「凛」  ボクは、凛の目を見る。  凛は、ボクの目を見る。  昔から、他人からの評価には敏感だった。 「愛してるよ」  彼女は、箸を置き、薄手の布手袋を付けた手を僕の太ももに置く。  そのまま、僕の顔を覗き込むようにして、にっこりと微笑む。 「凛も大好きだよ、誰何」  夕食を済ませた後、ボク達は猫屋敷に来たという形跡を全て消し、館を出た。  幸せそうに手を握る凛を見てボクは。  頬に付いている米粒の事を、いつバラそうかなと考えていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加