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完璧に、謎を解かずに解決へと導いた。
座って待っている。
十分程だっただろうか、階段誰かが階段を降りる足音が聞こえる。
コツ、コツと食堂へ近づいてくる。
ボクはゆっくりと体をよじって、音のする方を向く。
足音が姿を現す。
「おかえり、凛」
凛は微笑んだボクに近づいてきてーー。
「ばかぁっ!!」
思いっきり、頬を叩いた。
2
猫屋敷追悼祭二日目、午後六時半。
二人で摂る夕食。
「まったく…まったくもうだよ、まったくもう」
「そんなに怒るなよ」
「だって、だってだってだって~…」
凛はぶつくさとボヤきながら料理を頬張る。
無理もない。
ボクは凛の頑張りを、無駄にしたのだから。
即ち、子子子子さんの殺害。
「仕方ないだろ。あぁしないとお前、捕まってたんだから」
「そうだけど、それでよかったの!」
「よくねーだろ。ほら、早く食べ終われ。そろそろ出ないとまずい」
「分かってるよ!」
ガツガツと平らげていく凛。
「なぁ、凛」
口いっぱいに詰め込んだ料理を咀嚼しながら、凛は首を傾げる。
「ボクのために、ありがとう」
凛は、目を丸くしたかと思うと、慌てて口の中の物を飲み込み始めた。
急いだせいかむせこむ。
「凛」
ボクは、凛の目を見る。
凛は、ボクの目を見る。
昔から、他人からの評価には敏感だった。
「愛してるよ」
彼女は、箸を置き、薄手の布手袋を付けた手を僕の太ももに置く。
そのまま、僕の顔を覗き込むようにして、にっこりと微笑む。
「凛も大好きだよ、誰何」
夕食を済ませた後、ボク達は猫屋敷に来たという形跡を全て消し、館を出た。
幸せそうに手を握る凛を見てボクは。
頬に付いている米粒の事を、いつバラそうかなと考えていた。
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