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問題編
1
猫屋敷誕生祭とは、九州屈指の財閥「猫屋敷グループ」のご令嬢、猫屋敷 小鈴さんが毎年誕生日にごく一部の人物のみで開く、数日間に渡るパーティのことを言うらしい(ボクと凛は初めて招待されたので、このことは回り道さんから聞いた)。
つまりは昨日の誕生パーティから数日間、猫屋敷さんの別荘、愛称は猫屋敷と言うらしい。この猫屋敷に宿泊し、猫屋敷さんの誕生日を祝い続けるというわけだ。
結婚式の後に行われるハネムーン旅行と言った感じなのだろうか。
今回招待を受けているのは、猫屋敷さんの友人である子子子子 子子子さん、同じく友人の嫩 二束さんに回り道 迂曲さん、ボクこと邪答院 誰何、そしてボクの付き添いの最寄 凛。
それに猫屋敷さんを加えた六人の人物が、この猫屋敷に居るのだった。
いやしかし、回り道さん、結構飲むんだなぁ、下戸のボクとは大違いだ。はてもしや何かコツでもあるんじゃないだろうか、などと昨日の誕生パーティ(大量にアルコールが入り最早飲み会のような状態になっていた)のことを思い出しながら、さっさと朝の身支度を済ませて部屋を出た。
ボクの部屋は二階宿泊スペースの左奥にあるのだが、廊下を出ると右の突き当たりに子子子子さん、嫩さんの二人がいた。そこの部屋は確か猫屋敷さんの部屋だったかな…。
「おはようございます。子子子子さん、嫩さん」
挨拶しながら近付いてみると、嫩さんはこちらに顔を向けて言葉を返してくれた。
「大変なことになった。どうか驚かないで受け止めて欲しい」
「何かあったんですか?」
嫩さんは少し間を置いて、そして続けてボクにこう言った。
「…子鈴が、死んだ」
「………え?」
「声を掛けても返事がなかったから、無理やり扉を蹴破ったのだけど…。自殺…でしょうね」
部屋の中を見ていた子子子子さんがそう言いながら、私に部屋を見せるように数歩後ろに下がった。
強引に開かれ、錠の壊れた扉を横目に部屋を覗いてみると…。
猫屋敷さんが首を吊って死んでいた。
2
「凛、朝食の準備が出来たぞ」
ボクは凛の部屋の扉をノックする。嫩さんが言うには、凛は二人と一緒に猫屋敷さんの死体を見た時に、ショックで部屋にこもってしまったらしい。
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