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その時はそっとしておいてやろうと二人は止めなかったが、あれから二時間は経つ、朝食を取りながら今後のことを話し合いたいから、凛と回り道さんの様子を見てきて欲しいと頼まれたのだ。
「凛、おい、返事しろって、凛」
何度か部屋をノックするが、返事がない。本来なら用件だけ言って戻るのだが、何せ先ほど人の死体を見たばかりである。いくらクールなボクといえど危機感を感じざるを得ない。
正直に言おう、ボクは凛が心配だった。
「おい!凛!いるんだろ!返事しろって!!」
扉を叩く力が強くなる。凛に何かあったんじゃないのか?仕方ない、二束さん達に倣ってボクも扉を蹴破るか。なに、女三人で破壊出来たんだ、非力とはいえ男のボクに蹴破れない筈がない。
扉を叩くのをやめ、蹴破ろうと構えたところで、扉の向こうから声がした。
「いる!いるよ!いるいる!とってもキュートでキャワイイ最寄凛ちゃんはここにいますー!」
間違いなく凛の声だった。話を聞くにどうもお花を積んでいたらしい。
ボクはとりあえず構えるのをやめた。
「凛、朝食の準備が出来た。出られるか?」
「うー…凛は今ちょっと食欲が無くてですね…出来ればご遠慮したいです」
「…そうか、まぁだったらいいよ。ゆっくりしてろ」
「はーい、お言葉に甘えさせていただきますー」
会話終了。凛の安否が確認できたボクは、満足げに一階の食堂へと降りて行った。
食堂へ入ると、嫩さんと子子子子さんが座って待っていた。
「凛はまだ調子が悪いみたいで、欠席だそうです。まぁ、人の死体を見てますからね」
そう言いながら、昨日自分が座った席に腰掛ける。
「そう、彼女は人の死に慣れていないみたいだったものね…ところで、それだけかしら?」
「はい?」
子子子子さんの眉がひそまる。この人は思ってることがすぐ顔に出て分かりやすい。
さて、何か他にやることがあっただろうか?
考える。
「迂曲ちゃんを起こしには行ってくれなかったのかしら?」
「………あ」
ボクは二人の視線を背中に浴びながら、食堂を出て行った。
3
午前十時、少し遅めの朝食。
回り道さんはボクが部屋に行った時には既に起きていて、嫩さん、子子子子さん、そしてボクと一緒に食事を取っている。
「そっか…子鈴っち、自殺しちゃったんだ」
回り道さんはそう言いながらパンを千切って口に放り込む。
頷きながら何度も咀嚼する。
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