問題編

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 子子子子さんが、サラダを食べながら言う。 「まぁ、近いとは思っていましたけどね」 「しかしまさか今日だとは…流石のあたしも驚いたよ」 「子鈴ちゃんのことだもの、私達を驚かそうって考えたんじゃない?」 「それもあるだろうけど、おそらく誕生日だからじゃないかな?キリがいいからね」 「ちょ、ちょっと待ってください」  三人がこちらを見る。 「…もしかして皆さん。猫屋敷さんが自殺するってこと、分かってたんですか?」 「あぁ、何度か相談を受けていたからね」  嫩さんがスプーンで器用にスープを飲む。 「日程までは、教えてくれなかったが」 「…相談まで受けていたのに、皆さん、止めなかったんですか?」 「止める?どうして?」 「だ、だって…だってあなた達は…」  ボクは唾を飲みこんで、口を開く。 「猫屋敷さんの、友達なんでしょう?」 「えぇ」  二人は、口を揃えて言った。 「これが私達の、友情の在り方よ」  回り道さんは、パンを頬張っていた。 4  ボクは自室のベッドに横になりながら三人の言葉を思い出す。 「折角の猫屋敷誕生祭でしたのに、主催の猫屋敷さんが死んでしまっては、続けることは出来ませんわ」 「これからどうしようか、ということだな」 「あ、あ、それなら、いい考えがあるよ」 「なんだい?」 「猫屋敷追悼祭」 「追悼祭…?」 「そ、追悼祭、子鈴っち死んじゃったから、猫屋敷誕生祭を変更して猫屋敷追悼祭にしちゃうの」 「私としては、子鈴ちゃんのお父様に伝えるべきだと思うのだけど…」 「子鈴っちを弔うのが先だよ。だって――」 「あたし達、友達でしょ?」 5  結局、迂曲ちゃんがそういうなら…と言うことで、朝食は終了。  昼食の時間を伝えられたボクは、財政の話が始まった食堂を出て、自室へと戻ったのである。  猫屋敷誕生祭はめでたく猫屋敷追悼祭に名前を変え、猫屋敷さんの死を弔うパーティとなった。  回り道さん、発言力あるんだなぁ…いや、彼女達に言わせれば「友情」というやつなのだろう。  ほとんど友達いないもんな、ボク。  これ以上このことを考えていると悲しくなるので、回り道さんについて考えることにした。  そういえば、嫩さんも子子子子さんも大手企業の娘だが、回り道さんはそういうんじゃないんだったな。  あぁ、そうだ。  だからあの時、ボクは彼女の誘いに乗ったのだった。
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