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「回り道さん?」
返事がない。
ボクはドアノブに手を掛ける。
鍵は掛かっていなかった。
ボクは扉を開ける。
電気はついていないが、窓からの光で部屋の中はよく見える。
嫌でもよく、見えてしまう。
「回り道さん!?」
部屋のモダンなカーペットには、回り道さんが倒れ込んでいる。
「誰何クン一人じゃなんだから、凛も付いて来ちゃった…ってうわぁ!」
振り返ると、凛が立っている。
「回り道さん…それ、死んでるの?」
「まだわからない」
ボクは倒れた回り道さんに近づいて、手首をとり、脈を確認する。
「……脈はない。心臓が動いている様子も…ない」
「じゃあ…死んでるってこと?」
「あぁ…完全に死んでる」
全身を見渡す。
「首に紐で絞められた痕がある。多分、絞死だな。凶器は…これか」
ボクはすぐ側にあった紐を見つける。
「凛、他の人を呼んでくるねっ」
そう言うと、その場を離れていった。
ボクは職業柄…というかスタイル柄、色んな死体を見るため、死因だとかそう言うのには割と詳しいのだが、まさか役に立つ時が来るとは思わなかった。
部屋をぐるりと見渡す。特に不自然な所はない。至って綺麗だ。
争った形跡がないから、おそらく首を絞められたショックで気を失ったのだろう。
窓を確認する、鍵は掛かっている。と言うことは密室…いや、扉が開いていたか。
「迂曲!」
「迂曲ちゃん!?」
嫩さんと子子子子さんが部屋に入ってくる。後から遅れて凛がやって来た。
二人は死体に近づく。
「首に絞められた痕があります。死因は恐らく絞死です。凶器は…そこにある紐だと思います」
「続いて現場ですが、当然ながら窓と扉以外に出口はありません。そのうち窓は閉まっていました。つまり、犯人は扉から出た」
「そして、死体がまだ温かい。つまり、殺されて、そこまで時間が経っていないと言うことです」
「今分かっていることは、これだけでしょうか」
そう、だから犯人は…この中にいる。
「だ、ダメだよ誰何クン!」
後ろから凛の声がする。
振り返る。ダメ?一体何が?
振り返る。
「そうかい」
嫩さんがゆっくりと立ち上がる。
子子子子さんが、ボクを見ている。
あぁ、なるほど。
嫩さんが、口を開く。
「だったら犯人は、君じゃないか」
やってしまった。
9
猫屋敷追悼祭二日目、午後一時半
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