第1章

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「エルシュ!廊下を走ったらいけないと何回言ったらわかるの!?」 「お…お母様、ごめんなさい」 「全く、ただでさえ目が青いせいで皆から白い目どで見られているというのに、その上、品が悪くては…、一族の恥よ!!」 エルシュは好きで青い目で生まれた訳ではない。しかし、自分の容姿で家族は色々と言われているのも事実。家族にもっと甘えたい、遊びたい、責められていることに対して、泣きたい、死にたい…、そんな感情がエルシュの中に芽生えていた。 そして、エルシュは自殺をする決意を固めた。何が一番楽に死ねるか…、それを考えている時にふと、昔リリアから教わった事を思い出した。 「ヴァンパイアは、日に当たるとその身が滅び、砕け散ると言われているわ。だから、決して日の光を浴びてはなりません、いいですね?」 その言葉を唱えながら、エルシュは今一番日の当たる場所を探しあて、遮断カーテンを開けた。 「うわぁぁぁあ!!!」 屋敷中にエルシュの悲鳴が響いた。初めて浴びる日の光は暑く、眩しく、エルシュの心に刺さった。しかし、エルシュの身は滅びず、ただただ暖かいと思う他なかった。
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