蟷螂

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 夕食を済ませると、皆、僕の話をしながら自分の部屋に戻って行った。 先生は僕に申し訳ない様な顔をしながら、少しずつコンビニ弁当を食べている。  此処の食事より美味しい筈なのに、食欲が無いのか、美味しく無いのか、 それとも、僕の事で酷く悩んでいるのか。 昼間の火災がこんな所にも冷淡でトゲトゲした雰囲気を漂わせ、じわりじわりと施設の雰囲気を変えてしまったけれど、 今まではこんな事は無かった。 物が投げこまれたり、盗まれたりしても大して表沙汰になる事も、大々的に話題になる事もなく、  “脱走者”  “卒業生”  とこの施設にいない人間の仕業にされて来た。 ここまで施設が変わったのは、  ・・・・・  僕の所為だ。  「ご馳走様でした。先に寝ます」  俯いた儘の先生に声をかけると、彼女はピタリと手を止めた。そして微笑。僕を気遣ってか、無理して作ったように見える。  「そう。気を付けてね…」  その後も、きっと僕に何かを伝えたかったような表情をして、先生は消え入りそうな声で返事をしてくれた。
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