蟷螂

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 施設の子供達は殆ど部屋に返っていってしまったようだけど、木戸君はまだ花山さんや野田さんと連んで話している。  「草刈君は…」  言いかけて、  「放火犯はきっと、内の食堂の味に飽きちゃったから厨房に火を付けたのかもね、ほら、コンビニに買いにいかなきゃいけないだろ?」  僕が近くにいる事を知って木戸君はわざと言い直したんだ。それも、僕に聞こえるように……。 そうまでして僕を追い詰めたかったのか? はたまた木戸君が実は犯人で僕に冤罪を被せたのか、花山さんや野田さんもいるから、巧く信じこませて、思い通りの空気を作った。 そう考えると彼の事がだんだんと腹が立って来て、嫌いになって来た――。  駄目だ。僕はあまり頭に血が登り過ぎると気を失ってしまう 。 木戸君を追跡する事が出来ない。 真相を突き止める事が出来ない。  何度も深呼吸して、平常心を保とうとする。  「落ち着け、落ち着くんだ……」
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