蟷螂

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 何とか僕の部屋に戻ると、何かに終われるようにベッドに飛び乗り、亀みたいにして布団にくるまる…、 何か、見てはいけないものを見てしまったそんな気持ちが脳裏から離れない。 呼吸が荒く、胸の動悸が収まらない、思考が散漫して、一体この施設で何がされようとしているのか……。 唯、昼間の火災はほんの始まりだったのかも知れないと言う気はした。 もっと凄惨な何かが起こる、その前兆……。  夢だ――。  これは悪い夢で、本当の僕は今頃悪い夢に魘されていたんだと思いたかったけれど、 額を伝う汗。全身の震え。ヒュウヒュウと言う呼吸音からはこれは紛れも無い現実だとしか思えない。  「草刈…君?」  先生の声がした。  「どうしたの?」  スリッパで床をコツコツ歩く音と共に、先生がベッドに近付いてくる。  「大丈夫です」  「本当に…? 慌てて部屋に入っていったようだけど」  「…………!!」  厨房から部屋に逃げるのを先生に見られた? どうしよう。何て言おう。
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