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「大丈夫よ」
先生の手が、優しく布団に掛けられるとふわりと剥がれる。見上げるとニッコリと笑顔を見せる先生の顔があった。
「今日はもうゆっくり眠りなさい」
先生がそう言うと、僕はゆっくりとベッドに仰向けになる。
「先生、お休みなさい」
「うん、お休み…」
先生は僕の体に布団を掛けると、スリッパの音を鳴らしながら部屋を出ていってしまった。
まるで何処かの小説のような出来事が続いた一日だった……、ケフカの“変身”だ。
朝起きると自分が自分でない何かになっているけれど、何事も無かったかのように一日が続く。そして主人公の死がハッピーエンドという、とても奇妙な物語…。
図書室で読んだ事がある。
ならば、今日一日の僕は僕でなくて本当の僕は一体何者なのだろうか?
また、明日目覚めたら違う誰かに変わっているなんて事があるのだろうか?
そう考えると僕自身が怖くなってゾッとする。
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