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「ちょっと! 木戸君も村山君も何をしてるのよ!」
花山さんに連れられて先生が食堂に到着し、木戸君と村山君に叫ぶ。
一瞬動きをピタリと止めて木戸君は先生をギロリと睨み付ける。それは僕の知っている木戸君では無かった。
「こいつが俺の後を尾けてたんだよ。制裁って奴だ……」
木戸君の人称も口調も明らかに違う。
「先生…助けて」
村山君は地べたを這いつくばりながら先生のいる位置までズリズリと進む。顔から滴り落ちた血が食堂のタイルに深紅のラインを引いている。
木戸君はそれを意にも介さずに村山君の頭を鷲掴みにして更に攻撃を加えようとする。
「止めなさい! “浅丘”君――」
「――――!!」
先生は唐突に木戸君じゃない人間の名前を呼んだ。どういう事だろう。
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