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「先生、嘘だよね、出鱈目だよねそんなの…僕達が多重人格だか何だかの実験台だなんて」
僕は俯く先生の顔を見ながら必死に訴えた。信じたくなかった。嘘だ。口から出任せだと言って欲しかった。
けれど、先生が言ったのは。
「ごめん草刈君。浅丘君の言うのは本当よ」
「――――!!」
嘘だ。嘘だ嘘だ。僕は信じたくないぞ。多重人格の実験台にされているなんて厭だ。絶対に厭だ。
先生もその実験の助手をしているんだろうかと思うと、何もかもが厭になって来た。
「うわああああ!」
僕は食堂に集まった子供達を振り払いながら、逃げ出した。
「待って、草刈君。あなたは……」
先生は僕を止めようとしたけれど、先生の言う事を聞かず、無我夢中で施設の廊下を走り続けた。
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