12人が本棚に入れています
本棚に追加
そう思い、施設の外に目を向ける。
通行人や近所の人が火災を聞きつけて、ゲートの外で人集りを作っている。「こおろぎ苑が火災ですって?」「またぁ?」「よく起こるわね園長は一体どうしてるのかしら」「こんな施設にいる子供達が可哀想」矢継ぎ早に囃し立てる主婦達の話し声も聞こえる。
言うだけ言って結局何もしないのだろう 。何時もの事だけど。
でも、此処の園長は一体どんな人物で何をしているのか、入所した時から僕達はずっと先生に面倒を 見て貰っているので判らない。
「あの子、こっち見てるわ」
「遅れて出て来たけど」
「ひょっとしてあの子が犯人?」
関係ない人達まで僕の事を疑い出した。僕は犯人じゃないのに。
「草刈君も木戸君も喧嘩は止めて、先生は二人が無事ならそれで良いのよ」
僕の顔の高さに目線を合わせた先生が喧嘩を仲裁する。
消防隊の消火は無事に終わり、ゲートを抜けて消防署まで引き返して行った。
最初のコメントを投稿しよう!