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廊下には誰一人部屋から出ていないようだけど、それが却って僕だけがこの世界に取り残されたような虚しさと寂しさを感じさせる。
「先生にも言っておくよ。草刈君を監視してもらうように」
僕を監視する?
冗談じゃない。四六時中監視なんてされたらストレスで死んじゃうよ。
この施設には、防犯カメラという設備が無い。皆の部屋にも。廊下にも。どこにも。
それが、放火や窃盗の真犯人が誰なのか判らなくさせる原因なんだろうけど。
先生達はこの事について何も話してくれなかった。
今迄は、それが無いから僕達はモルモットみたく誰かに監視されていないんだろうと安心していたけれど、
今考えると警備が手薄過ぎるのが不思議だ。
「そうした方が良いわね」
「私達も怖くて夜が眠れないから」
花山さんと野田さんは僕を先生に監視させる事に賛成してしまった。
施設で僕の味方をしてくれる子がだんだんといなくなるような寂しさに襲われる。
味方が一人もいなくなる前に僕も何らかの策を講じないと、本当に居場所が無くなってしまう。
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