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華菜はやはり怖かった。時国と相談した華菜は、時国の脳に移動していたのだ。莫大な細菌の知識を共有することで、時国と利害関係が一致したのだそうだ。
華菜という人格は消えつつあるが、時国の中でその頭脳は発揮されていた。分散された脳に、莫大なデータも保管され活かされている。
しかし、可愛い華菜。時国を見ても、微塵も可愛さは浮かばない。ビジュアルで、メンタル面が傷ついた感じだった。
興野は、再び管理室の跡地に建物を建てた。俺は迷わず同居を決めていた。
「軍部の保護対象からは抜けられないからな、百鬼」
新築なのに、どこか懐かしい。
「ダブルベッドにした」
寝室が大きくなっていた。
「これで、成長しても大丈夫。一緒に寝よう、百鬼」
「断る」
ちゃんと俺の部屋はある。興野のベッドがダブルベッドになっただけだ。
興野は軍服でもかっこ良かった。こうして、ジーンズにシャツだけでも、凄くかっこいい。
「百鬼、好きだよ」
興野はいつも欲しい言葉をくれる。
「興野を、ずっと守ってやる」
笑う興野の、キスが優しい。
興野、俺を必要として、ずっと一緒に居たいから。
森の中の森 終わり
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