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8月12日,16歳の誕生日を迎えると共に僕の運命が大きく変わるなんて思いもしなかった。
ミーンミミーン....
「律ー!起きなさーい登校日なんでしょー?」
一階から大きな声がひびく。
クーラーが効いた部屋はとても涼しく体が動きたくないと脳に命令しているようだ。
「りつ!いい加減にしなさい!明くんが来ちゃうわよ!」
全く起きる気配のない僕の布団を剥ぎ取ると母はパパッと部屋をあとにした。
「ふぁ~ぁ。」
大きなあくびと共に目を覚ます。
緒方律。
何の変哲もない高校1年だ。
夏休みに入ってからと言うもの特に何をするわけでもなくゴロゴロしていた。
そんな中今日は、登校日。
めんどくさいと思いながらも支度をする。
ピンポーン...
一階からインターホンが鳴る。
僕はすぐに部屋の窓を開け、門前にいる幼馴染の松本明(あきら)に声をかける。
「明、ごめんもう少し待ってて!」
明は慣れたように頷く。
急いで下に降りると母さんがおにぎりを渡してくれた。
「明くん待ってるわよ、高校生になっても寝坊するなんて..」
小言を言う母の側から勢いよくパンを口に頬張る。
用意されていた、お茶を一気に飲み、鞄を背負うと
早足で玄関に向かった。
僕が出ようとした時後ろから、
「あっ、律 今日は学校終わったらそのままおじいちゃんの家に行ってねそこで夕飯食べるから。」
うちは、母子家庭だ。
僕が小学校上がる前に父と別れたらしい。
正直、僕には父との記憶があまりない。
遊んでもらった事もあると思うが父はあまり家にいたイメージがなかった。
父に対して良くも悪くも何も感じなかった。
「オッケー!わかったよ。」
靴を履き、明の元に向かった。
今思えばここから歯車が回り出したんだ。
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