1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ……おじさん」
気が付くと、玄関に子供がいた。
いつの間に入ったのか……。
「ん?君は?」
女の子だ。
女の子は泣きそうな顔をしている。
どうしたのだろう。
「パパが帰ってこないの」
「お父さん、もう、帰ってくるはずなの?」
「………。」
鼻水をすすりながら、目からは僅かに涙を見せて、黙って頷く少女。
これには困った……。
「ほら、泣かない泣かない。」
「…………うん。」
しかし、少女は泣くのをやめてくれない。
参った………。どうするか……。
「そうだ!!おじさんと、かくれんぼしようか!!その内には、お父さんも帰ってくるよ!」
妙案を思い付く。
そうだ、こう言う時は遊んであげればいい。
「……うん。」
涙を止めて、その顔にはすぐに笑顔が戻ってくる。
「うちね、かくれんぼ得意だよ!」
「そうかぁ。じゃ、おじさん、10秒数えるから隠れてくれるかな?」
「うん!!」
元気よく、家の中を走り出す女の子。
良かった……
元気になったかな?
最初のコメントを投稿しよう!