第2話

人←「奪」

「いーち……にー……さーん……よーん………ごー……」

ドタドタと足音が聞こえる。
風呂場の戸の音が聞こえる。

「ろーく……しーち……はーち……」

足音が聞こえる。
ふすまの音も聞こえる。

「きゅー……じゅう!!もーいいかい？」

「まーだだよ!!」

まだのようだ。
再び数える。

「いーち……にー……さーん……」

数えていると、その内に足音が聞こえなくなる。
物音もしない。

「……もーいいかい？」

……………。

返事がない………。

「よし!!探すぞー？」

家の中は平屋で、そんなに広くない。
まずは音がした風呂場だ。
戸を開けて、中を確認する。

「………ここじゃないなぁ」

ここにはいない。
なら次は………

「ここかな？」

ふすまを開けて、寝床を確認する。

………いない。

押し入れとかも開けて見る。

「んー……？」

………いない。