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なぜだか、オレは同類を嗅ぎ分ける臭覚だけは並外れていたから、わかってしまった。
「あんたゲイだろ」
奴がトイレから部屋に戻るタイミング、たまたま廊下ですれ違った時にぶちまけてみたら、ビンゴだった。
「な、なななななっ……」
そのまま「7」しか言わなくなったチカの激しいテンパりを見たのは、それが最初。
「安心しなよ。オレも。でもあんたはタイプじゃないから。仲良くしような」
取って付けた笑顔でそう優しく言ってみても、奴はなかなか「7」から這い上がれなかったっけ。
その、知る人ぞ知る、というよりだいたい周知されているテンパり虫のチカが、最近恋に落ちた。
相手は天使、結城佐久。
いままでノンケは好きになったことがないという強運の持ち主、チカを瞬殺した男が、結城だった。
だって一目惚れだったんだよ、て言われても知るかアホ、やめとけよ。
そう返したオレも、本物の天使の前にあっけなくひれ伏した。
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