尾花葛花撫子の人

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いつものルートで帰ってきて。 どこかにいるから探してみて。 帰りの電車、咲音さんからそう連絡があった。 改札を出て辺りを見渡す。駅前のコンビニで立ち止まる。背伸びして中を伺う。本屋にもいない。 きっとどこかの自販機の陰から出てきて僕を驚かすんだと勝手に決め込んだ。自販機毎に無駄に身構えた。 いつもの倍の時間を掛けて商店街を歩いた。吹いてきた風が思いのほか長く続いて背中を丸める。 街灯が終わり、どこか見落とした場所は無いかと立ち止まった時、「おいっ」と呼ばれる。 顔を上げると、いつもの肉屋の前に咲音さんが立っていた。 ポケットに両手を入れたまま横スキップでやってきて僕にぶつかる。 「唐揚げにしよう!」 マフラーを手で少し下げそう言う。 「ちょうどお肉屋の前だし」 肉屋で鳥の胸肉を買った。 咲音さんのバッグから大根の葉がのぞいている。 「それどうする?」 「おろす!」 唐揚げ♪唐揚げ♪と歌うから、唐揚げと俺とどっちが好き?って聞いたら、「唐揚げ!」と言われた。 おいしい唐揚げを食べました。 って話を昨日書いて更新していなかった。 おはよう。 寒いね。 金曜日だね。 頑張ろうね。
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