尾花葛花撫子の人

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咲といくもの電話はいつも長くなる。決まって咲音さんは途中で風呂に入りたくなる。その間、僕に「話してて」とスマホを渡す。 昨夜もそうであった。 い「久しぶり」 ね「久しぶりじゃねえよ?(2、3日前に会っている)」 い「じゃあ、2、3日ぶり」 ね「2、3日ぶり」 い「……」 ね「……」 ね「切る?」 い「何もする話が無いわけ?」 ね「じゃあ、何でも聞くから話しなよ」 い「……」 い「…………」 ね「(笑)」 い「(笑)」 い「じゃーねー(笑)日本史のクイズ出してよ。試験には出ないような、へえ~って感じのやつ」 い「幕末辺りが得意だからさ」 ね「禁門の変で自害した久坂玄瑞の奥さんは誰の妹でしょうか?」 い「……」 ね「問題変える?」 い「いや、いい」 い「うーん……」 い「……しょ、庄屋?………(笑)」 ね「何が?」 い「久坂の奥さん」 ね「庄屋の妹なんて答えがあるわけないじゃん」 い「幕末辺りが得意って言ったけど、私の専門は生麦事件以降だからさ、なめんなよw」 ね「生麦、1862年、禁門の変、64年だけどw」 い「(笑)」 そのあと、忘年会どうする?って話を30分くらいしていたら咲音さんが戻ってきた。
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