序の章

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列に並びながらスマートフォンを弄る少女。 「なんだ?アプリのゲームか?」 「うん、結構面白いんだよ!」 「今年から受験勉強しないといけないんだから、あまりのめり込まないようにな」 「わかってますよーだ」 そんな会話をしているうちに、2人に順番が回って来る。 「私、奥がいい!」 そう言って少女は笑いながら奥のシートに座った。 「なんだかんだ楽しそうじゃないか」 父親はそう言いながら少女の隣に腰を下ろした。 「安全バーが閉まりますので、ご注意ください」 スタッフの声が聞こえると同時に、ゆっくりと安全バーが肩の上に降りて来る。 ブザー音が響き、コースターはガタガタ音を立てて動き出した。 その時、少女は自分の肩に見た事のない虫がとまって居る事に気づく。 「うわっ、何この虫!キモい……」 少女は手のひらで払おうとするが、虫は服にしがみ付いて離れない。
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