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「おいおい、なんだなんだ!?安全バーの締め忘れか?」
「まぁいいじゃん!きっと後でタダで乗せてくれるって」
父親と少女のすぐ後ろに座っていたカップルが会話を始める。
少女は体勢を整え、父親の膝に手を掛ける。
「キリキリキリキリキリキリキリ……キリキリキリキリキリキリキリ……」
「何?前の女の子おかしくない?変な声出してるし!」
「は?なんだよ声って……何も聞こえないじゃん!」
カップルの男の方が呆れた顔でそう呟いた瞬間、少女は口を大きく開いた顔で固まっている父親の首筋に噛み付いた。
ブシュッと言う音と共に、血飛沫が空に舞う。
「うぎゃぁあああああああ」
少女は父親の鎖骨が見えるまで、ムシャムシャと肉を貪っていく。
「ちょっ……何が起こってんのよ一体!!」
カップルの女の方がそう言って目に涙を浮かべた瞬間、アトラクションスタッフからの放送が聞こえてくる。
「只今、緊急事態によりアトラクションが一時的に停止しております。しばらくお待ちください」
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