序の章

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「お願いじまず……だずげでぐだざい……お願いじまず……」 失禁しながら土下座する女。 リビングに鉄臭い血の匂いとアンモニアの匂いが広がる。 ワンピースの女は身体の前で腕をプラプラ揺らし続け、蹲る女の真横まで歩いて来る。 そして同じように跪き、女の耳元で奇妙な声を発した。 「キリキリキリキリキリキリキリキリ……キリキリキリキリキリキリキリキリ……キリキリキリキリキリキリキリキリ……」 それから数分後、噛み付く事も無くワンピースの女はフラフラと自分の割った窓ガラスから出て行く。 リビングで蹲っていた女は、ワンピースの女を見送るように、無表情で立ち上がっていた。 黒眼をグルグル廻しながら。
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