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「この時代の君に会えたなら、元の時代に帰る方法が分かるかもしれない」
そう言うなり彼は彼女の家を調べだし、ようやく見つけてその家を尋ねると、恐らく彼女の孫であろう少女が出迎えた。
「―――絶対、私の孫だよね……?」
だって歯並びそっくりだもん。あれおかしい、なんで二世代経たのにこんなに鮮やかに歯並びだけが遺伝しちゃっうてるの。
納得は行かないものの、少女が自分の孫であろうことは分かった。が、彼女が求めているのは孫ではないのだ。
「連れて行ってあげなさい」
恐らく未来の自分の娘であろう自分よりは年長に見える女性が、少女にそういった。少女は「はーい」といいながら彼女の腕を引く。
「……この時代のあなたはここにいます」
と、連れて行かれた先は病院だった。
少女が小さく笑う。
「余命一ヶ月といわれて、今日でちょうど一ヶ月になるんです」
それまで、延命治療などもずっと拒否をしてきていたらしい。
この時代の自分がいるという病室に足を踏み入れると、ベッドに横たわったやせ細った老人の姿があった。
老人の顔が、僅かにこちらを向く。
「―――やっと、来てくれましたね」
にこりと微笑んで、枯れ枝のようになってしまった腕をゆっくり伸ばして、少女だけを退室させて彼女に声をかけた。
「なにも言わなくていいですよ。あなたの言いたいことはわかっています。今、すべてを教えれば……きっと、私が今日死ぬ運命などは変わってしまうでしょう」
呼吸をするのもやっとであろう老人は、それでも口を挟むことを許さずに話し続ける。
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