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容姿はさる事ながら、大人で気遣いがパーフェクト。兄貴肌で、太陽のような雰囲気を持っている。当然、町中の人々…特に女性たちから高い好感を得、藤堂たち隊士からは理想の男性像として憧れを抱かれている。
「な、何すんだよ左之!」
「え、何って、熱計っただけだろ?お前やっぱ熱あるぞ」
「んなのねえよ!」
そう言うと永倉は、サッと原田から間合いを取った。
どんなに完璧だろうと、人間には何かしらの欠点がある。原田の場合は、男女年齢関係なく、このような過剰とも取れるスキンシップをしてしまう事と、それを何の違和感も感じず平然と実行してしまうその天然さだ。当然、己がイケメンである事も、モテている事も、こんな態度が人々の心を惑わしている事にも気付いていない。
こういう無自覚な人物ほど、タチが悪いのが世の常だ。
「なあ明日夢。お前から見ても新八のヤツ顔赤いだろ?熱もあるみてえだし」
「…そう言われるとそうですね。風邪でしょうか?”なんとかは風邪ひかない”とは言いますが…」
「げ、元気に決まってんだろ!俺は風邪にやられるほどヤワじゃねえし!ほら行くぞ!」
「おい新八!バンダナ拾い忘れてんぞ!」
その後も…
「おい新八、どこ見てんだ。ぶつかるだろ」
荷車にぶつかりそうになったところで二の腕を掴んだり…
「おい新八、静かにしてろ」
三人で身を寄せて不審人物を監視中、永倉がもぞもぞと動くので、原田が背後から大きな手で口を塞いだり…結局、対象は不逞浪士ではなかったが。
「明日夢、髷の紐ほどけかかってるぞ。結んでやるからジッとしてろ」
ハーフアップで結わえた明日夢の髷を原田が直してくれたが、その間永倉にジトッとした目で見られたり。
そのくせ歩く時は、一定の間を取って永倉が原田の先を歩く。真っ赤な耳のまま。
「変な新八だなー。いつもは俺の隣で喋りながら行くんだぜ?明日夢がいるから気ィ遣ってんのか?」
「そんな心配りが出来るほど、新八さんは繊細に出来ていないはずですが」
「だよなー。あ、アレか。熱出してんのに無理すっから、おかしくなってきてんのか?」
「うーん…」
”変な新八”としか思っていない原田。一方の明日夢は顎に手を当て、これまでの言動を思い出す。絶対に何かおかしいと。
原田は無自覚タラシ。そんな彼の親友が永倉。あんなスキンシップをさせるのも目撃するのも、日常茶飯事のはずだ。今さら動転するような間柄でもない。
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