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「うるせえ!オレは大マジメだ!それにな、この傷は”割られて”出来たんじゃねーよ!れっきとした”斬り傷”だ!」
「どちらにせよ、負傷した事に変わりはないので、どっちでもいいじゃないですか」
「よくねえ!!」
藤堂にとって、何故かそこは譲れないポイントのようだ。
「まったく、こんなんで隊士募集なんか出来るんですか?こんなにおチビさんだと、江戸の人込みで踏み潰されるんじゃないですか?」
「オレは虫かぐえっ」
「食って掛かるのもいい加減にしなさい。血が止まらなくなったらどうするんですか」
再び沖田に突撃しようとした藤堂だったが、自身の全長1mポニテを明日夢に引かれてひっくり返る。
「アハハッ。まるで犬のリードみたいですね。丁度いいじゃないですか。やんちゃ盛りな子犬のリードとして」
「誰が”小犬”だ!!」
「そっちじゃねーし」
「うん。三人は本当に仲が良いね。まるで兄弟みたいだ」
からかう沖田、悪い方向での誇大妄想な藤堂。そして冷静にツッコむ明日夢を見て笑う近藤。
「えー、嫌ですよ兄上。平助とならまだしも」
「私も嫌ですよ近藤さん。あ、でも、明日夢君と兄弟になる事で近藤さんの弟になれるのなら大歓迎です!」
「オレも嫌だ!明日夢ならまだマシだけど、総司の弟になったら、毎日こき使われるに決まってるからな!」
「兄弟じゃなくてもパシリにしてますけどね」
「ほらみろ!兄弟になったらそれがもっとヒートアップするんだろ!」
さっ!と明日夢の方に後ずさる藤堂。
「ははっ!本当に仲が良いなあ。そうだ平助。出発は五日後の手はずになってるから、ちゃんと準備しておくんだよ」
そう言って近藤は立ち去り、その五日後。隊士募集のため、藤堂は江戸へ旅立った。
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