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「マジで勘弁してくれよ!!今月はマジでヤバいんだって!!」
「問答無用!!」
バッチコーン!!」
「南無三ッ!!」
「いいですねえ…」
「!?」
無銭飲食者を無事成敗した明日夢の背後に、ゾワッと悪寒が走った。
錆びついた歯車のようにゆっくりと振り返れば、そこには、うっとりとした表情を浮かべているモヤシがいた。
色素が薄いのだろうか。肌のみならず髪も白く、武田同様緩く結わえて右肩に垂らしている。
色素が薄い分、髪質はパサついているかと思えば、黒髪も真っ青なエンジェルリングを有し、その端正な顔も相まって西洋人形を連想させた。
で、そんな彼はというと、
「躊躇なく制裁を与えるその勢いのよさ…空を切って肌に食い込むその弾力性…空気中に振動するその独特なハリセン音…何より、そこから生み出されるその強力な破壊力…いいですねえ…最高です。”この攻撃を受けたら…”と考えるだけでゾクゾクします。最高の愉悦でしょう…」
「「「…」」」
「常人は痛みを忌み嫌いますが、僕は全くもってその感性を理解出来ません。痛みがあるからこそ、人は生きている事を実感出来るのではないでしょうか。加えて、痛みつけられ、その場所が赤く染まり疼く様は、快感以外の何物でもありません。性交で得るエクスタシー以上と断言します。故に僕は、痛みつけられる事に最高の愉悦を感じるのです」
痛みに関して持論を熱く、そしてうっとりとした表情で語るモヤシ。
そんな彼を見ていて、明日夢の頭の中には三つの選択肢が浮かんでいた。
・逃げる
・戦う
・人柱(永倉)捧げる
「なんで俺!?」
「ああ、申し遅れました。僕は此度の隊士募集で入隊し、数日前から二番隊伍長を務めております伊東甲子太郎と申します。以後お見知りおきを」
紳士のようにうやうやしく頭を下げる伊東。しかし次の瞬間、彼の口から予想だに…いや、予想出来るだろうが正直したくない発言が飛び出す。
「さあ近藤組長。僕にも”痛み”という名の快感を与えて下さいませ!」
「へ・ん・た・い・だああああ!!」
山野の声で我に返った明日夢、永倉は、彼と共に伊東から逃げ出した。しかし悪い意味で予想を裏切らず、伊東も追ってくる。
「シャッターチャーンス!」
しかも面倒な事に、沖田とカメラを構えた山崎がどこからともなく登場した。
「邪魔…ですッッ!!」
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