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擦れ違いざまに明日夢はハリセンを振り回し、彼らのブッ飛ばしを試みる。まあ、相手は新撰組最強を謳われ、一方は忍を疑われる男たちだ。当たるなんてハナから思っていないが。
「はああ…いいです、その思い切りの良さ…最高です。避けるなんて勿体ない事しませんから、その勢い、僕にブチ当てて下さい!」
そんな台詞を伊東は、興奮で鼻息荒い状態で言った。
「明日夢!!ヤツの狙いはお前だ!!俺たちを解放してヨソでやれ!!」
「逃がしませんよ新八さん。あの人は二番隊の伍長だそうじゃないですか。自隊の隊士の責任は、きちんと組頭の貴方にも取っていただきますよ」
「知らねえよぉおお!!」
「ドタドタドタドタうるせえぇええ!!廊下を走り回るな!!」
あまりの足音に我慢が出来なくなったのだろう。障子戸を勢いよく開け放って、土方が廊下に出てきた。
「!土方さんどけて下さ」
「お前らが静まれ」
「「!!」」
「「ぶっ!!」」
そう言うと土方は、それぞれと衝突する瞬間、明日夢を肩に、山野を小脇に抱えた。そして伊東に関しては、顔面に足の裏を押し付ける形で騒動を収める。ちなみに永倉はというと、土方が足を構える直前、それにつんのめって庭にダイブした。
「廊下を走り回るんじゃねえ。お前がいつも平助やら新八やらに言ってる事だろ。それを本人がやらかしてどうすんだ…ったく」
「その…ハリ倒したらハリ倒したで、余計に悦ばれそうで…すみませんでした」
「……まあ、否定は出来ねえな…」
土方の足元の無防備に横たわる伊東。その顔には土方の足跡と、恍惚とした笑みが浮かんでいたそうな…。
「いつも思うんだけど、土方さんって明日夢には甘いよなー。明日夢も土方さんの前ではしおらしいし」
「気のせいですよ新八さん」
「ちょっ、ちょっ、明日夢ッ!ハリセンの柄でグリグリすんなやあああ!!」
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