サルディニアという国

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レムリアス、皇女執務室。  陽が落ちて一日の執務を終えた後に、急ぎながらも走ることをしない男がやってきた。いつもならば翌日に出直すようにと帰らせるのだが、男はボリス外務大臣の危急の使いであると述べたので、特別に入室を許可される。  外交辞令も早々と省略し、不躾に本題を切り出してくる。 「皇女殿下を狙う者がやって参ります、早々にお逃げ下さいませ」  不明な点を二、三問いただすと、メディナの顔色が変わった。直ぐに近侍を呼び、外出準備を行うよう命令を発する。 「ご苦労だ、お前はここで待て」  自らは真っ先に主君へと報告をあげ、重要書類をまとめ始める。頭と体が別の行動を流れるように行う、危険を回避するにはどうしたら良いか、宮殿を落ち延びた時と同じ緊張感が張り詰める。
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