ディール帝国

5/17
前へ
/142ページ
次へ
 だがしかし、馬車を飛ばしたとしても騎馬から逃げられるものではない。そもそもの限界が違う。  伝令を出してサルディニアからの迎えを出させるべきだろうか、そう考えたときにメッテルニヒが視界に入る。彼が意識的に割り込んできたのだ。 「メッテルニヒ」 「はっ」 「サルディニア王国に走り、迎えの部隊を出させるよう説き伏せよ」 「承知いたしました」  メディナは残り少なくなった、サリスの印鑑が押されている命令書にサインして、山賊に追われていると加えて持たせる。すぐに意味を理解したメッテルニヒは、北に向かい馬を走らせると、その背が見えなくなった。寝不足で隈が出来ているが、動きに遜色は見られない。勝負所なのを理解しているのだ。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加