ディール帝国

7/17
前へ
/142ページ
次へ
 まったくもって国境がどこかわからないまま、ついに追手の姿が見えるまでに近づいてきた。こうなっては駆け出しとたしても最早逃げられない。  ――これ以上は無理ね、メッテルニヒが戻るまで守るしかないわ! 「部隊停止、川沿いに布陣する。馬車を盾にして半円を描くようせよ」  本当ならば二方面を侵入不能な箇所としたかったが、この先にあるかどうかわからず、残された時間も少ない。仕方なく川を背にする。  馬車をロープで繋いで騎馬の通行を妨げる、簡易の馬返しを周りに並べて突入を困難にさせる。多数の婦女子がいる内側に入られたら大混乱は必至だ。そのためにもやや広めの縄張りを確保しなければならない。構築のための時間が惜しい。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加