ディール帝国

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 ちらりと後ろを見ると、ブロスハート軍曹がサリスの前に立ち身構えていた。サルディニア側にうっすらと砂塵が上がっているのが見えた、だが追手の来た道からは、また別の砂塵が登っている。騎兵の増援だろうか。 「敵に止めを刺す必要はない、ラインの内側にさえ入れなければ良いぞ」  緊張している護衛部隊に明確な指示を出す。傭兵の方はこれといって恐怖にとらわれるわけでなく、冷静に迎え撃つ構えだ、経験が違うのだろう。  弓矢の応酬から槍の投げ合い、最後に近接戦闘へと移る。体力があるうちはラインが崩れる心配は無いようだ。片方だけが交代可能の状態ならば、いずれ疲労で動きが鈍る。
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