ディール帝国

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 手元が狂ったのか狙ったのかわからないが、偶然を伴った矢がサリスに向かって一直線向かっていった。すると射線を遮るように割り込み、ブロスハート軍曹が盾を翳すと、乾いた音をたてて矢が斜めに向きを変えて飛んでいった。  馬車が遮蔽物となり、中々ラインを越えることが出来ないでいる追手だったが、ついに一部が障害を乗り越えた。侍女らの悲鳴が聞こえた。 「全員第二防衛ラインまで後退せよ!」  ラインが潰れる前に、自ら守備位置を下げるよう命令を出す。簡単な柵しか防御側には残されておらず、サリスへの危険も高まってしまう。それでも側面にも敵を受けて構えるよりマシで、密度を濃くして防衛する。
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