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ついには侍女らすらも武器を手にして構えるまでになってしまう。当然そのような物を持ったこともなく、形にすらならない。
――やはり無理か!
メディナが諦めかけた時、思いもしない事態が起きた。追手の後続騎兵が勢いを緩めず下馬歩兵の背に切り込んでいったのである。
「な、何がおこっているか!」
言ってはみたものの、メディナが解らないことが他の誰にわかるというのか。
だがその疑問は一人の男により氷解した。
「ようやく見つけたぞ。近衛軍ルシファー・ド=ダグラス推参!」
白と青の軍服を纏い、数十の騎兵を率いて驚くべき人物が現れた。
「ルシファー!」
つい名を呼んでしまう。本来ならば防衛の隙を埋めるべきだというのに。
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