ディール帝国

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 メディナが驚きと喜び半分の声をあげる。兵たちは名乗りのド=ダグラスという家名を聞いて一気に勇気が湧いて出た。ルシファーが檄を飛ばすと戦意を失っていた者ですら、再び前へ足を踏み出した。  白と青の軍服は数人しかいないが、他の騎兵も秩序を保ち戦っている。近衛ではなく私兵だろうか。  押しきれないと判断したのか、ついに敵が引き上げて行く。警戒の為に騎兵を散らして周囲を探らせ、ルシファーは下馬して進み出る。 「遅くなってすまない。宰相の監視が厳しく領地を離れることが難しかった」  久しぶりにみた青年の顔が妙に嬉しかった。同年代の近衛として、共にサリスの下につく以前から家同士で交流があった間柄である。
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