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北東の関所から、北西の山間に進路を改める。進む速度は極めて低下するが、戦いを回避するにはこれしかない。
馬車では行けない道が多数あり、困難を極める。一キロ程後に気配を感じた、身軽な追手が迫っている。姿を捉えられれば距離を置いての監視が続けられ、簡単に包囲されてしまうだろう。
「大尉殿、我等が阻止線を築きます。脱出を急いでください」
第7軍より借り受けた小隊長が申し出る。だが借りている者を捨て駒にするわけには行かない。アスター大尉は申し出を断り、サリス護衛隊を展開させた。
「中尉、この作戦の成否は貴官にかかっている。頼むぞ」
「お任せ下さい。殿下の御為にも!」
重要性を理解している中尉は神妙に頷いて部下をまとめ、山道に妨害工作を始めた。
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