奪還任務

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 帝都脱出劇から常に共に居た者に事後を任せると、一行は馬車を遺棄し、重傷者を担架に載せて、騎馬と徒歩で進んでいく。流石の道案内も着たことなどあるはずもなく、辛うじて山の配置から方向だけを見極めて行くしかなかった。  ニ十分としないうちに、後方で喚声があがった、ついに追い付かれたのだ。高低差百五十メートル程の山を抜けると、更に険しい道が続いているのが確認できた。  ――きついな、ご老体には無理かも知れん。    ミュラー等は黙って従っているが、年齢的なものも考慮するならば限界だろう。山側でキラリと光る何かを見付けると、アスターは希望が満ち溢れるような気がした。考えをまとめるために「停止」声を発する。
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