奪還任務

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 布陣を終えるあたりで、皇女護衛隊が合流した。皆一様に負傷しているが、遮蔽物が多い場所だけに、上手く守りながら遅延行動をしたようである。  体を休ませているうちに、交代で送った小隊も引き返してきた。たったの五十メートル四方程度の防御陣に、全員が集まる。多数で攻めかかればひとたまりもないだろうが、倍位の敵ならばそれで何とか食い止められる目算がたった。  追撃を仕掛けてきたラーマベイン要塞兵の足が止まる。偽装された塹壕から、不意に攻撃を受けたからで、後方から増援が来るのを待っているかのように見える。  じわじわと包囲が行われる中、アスターはしきりに注意を先の山へと向けた。最早逃げ出すわけには行かず、皆は固唾を呑んで推移を待った。
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