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ミュラーがアスターに向けて首を横に振って、自分達を残して離脱するよう提案してきた。
「サー・アスター。君たちだけならば逃げられるだろう。狙いは我らだ」
確かに奴等の目標はミュラーら八名で、兵士などどうでも良いだろう。その意味では今逃げ出せば離脱出来る可能性は高い。
「閣下の御気持ちは、ありがたく受け取らせていただきますが、ご心配には及びません。お任せください」
要塞兵の増援が現れて、一気に包囲を狭めてきた。各人が生唾を飲み込み、手に持つ武器を強く握りしめる。
要塞兵の指揮官が「攻撃!」と叫んだと同時か、少し遅いくらいで銅鑼や笛が山で鳴り響き、多数の旗印が一斉に掲げられた。
「待て待て、その攻撃待たんか! ザームラントはディール帝国に反逆の意思を持つか!」
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