奪還任務

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「馬鹿な! それはおかしい、我らは先程からずっと交戦中で……」  まさかの軍旗に動揺してしまう。だが間違いなく目の前の集団は要塞を襲撃したやつ等だ。 「一度足りとも、視界から消え去った事もないと断言できるのか中佐。間違ったではすまされんぞ、外交問題にしてやる!」  消え入りそうな言葉に被せるように威嚇する。元より身分を示すようなものを所持させていないアスターは、この時とばかりに第7軍以外の旗印などを処分するよう命じた。  暫しの沈黙の後に中佐が、「面通しを求める、要塞よりの脱走者がいるはずだ」そのように告げる。 「作戦行動中である。第7軍司令官の許可証を持ってきたら面通しを認める」  大佐は半ば申し出を認める形で条件を乗せて来た。無論そのような許可証が届く頃には跡形も無く、件の連中は姿を消しているだろう。
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