プロローグ

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プロローグ

 その命の味を、忘れることはなかった。 「ユオン……やっと来た、な………」  赤い(ほむら)をともす、赤まみれの指。呪われた火をかざす少年の、最初の(のぞ)みと最後の願い。それを台無しにする裏切り者のたった一言。  愚直な譫言(うわごと)は少年の逆鱗を鷲掴みにした。 ――……あアアああアアアアア!!  いったいどれくらい、脆弱な肉芽を屠ったのだろう。  虫を潰すほどにも、心は痛く感じなかった。ただそこで喰らった命が、少年に消えない「死」を刻んだだけで。  そして少年は、ヒト殺しの才能をその名に背負っていく。 +++++ Czero Cry/R. -resistance-
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