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トン…っと。
今日は優しく壁に寄せられた私の背中。
「今日は機嫌がいいのね」
「信号がずっと青だったんだよ」
「ぷっ…単純…」
「うるせ」
まだ誰も来ない時間で
オフィスビルの地下へ続く階段。
ここで私、桜井 絢と同僚の哀川 爽は二人だけの時間を楽しんでる。
壁、というオプションを使って。
いつから始まったのか……
始まりは思い出せないけれど、確か最初はふざけてやっていた。
「こういうのがこれから流行るんだって」
「やだっ、何これ。
カツアゲされてるみたい」
「お前、色気ねーな!」
みたいな会話はした記憶がある。
それからだ。
毎朝、決まった時間…
哀川は必ずここに来て、私を壁に押し寄せる。
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