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"お酒作ってるなら飲ませてくれない?"
親しみやすいキャラクター。
もの凄く美人とは言えないけれど、愛嬌のある明るい笑顔。
あっという間にこの店に溶け込んだ彼女は、カクテルの試作に取り組んでいた自分にもごく自然に声をかけてきて。
その夜から二人だけで飲むようになった。
たわいもない話は沢山したけれど、ケイの今までのいきさつは、まだ一切知らない。
(あ、まただ・・・)
歌の間奏部分。
いつも明るく振る舞っている彼女だが、時折かげのある表情を見せる。
そしてその瞬間に、修治は決まって気付いてしまう。
それは、閉店後自分と差し向かいで飲んでいる時も同じで。
そんな時、近いようで遠い彼女との距離を実感する。
いったいいつまで、この店に留まってくれるのだろう。
修治は未だにその問いを、ケイに投げかけることが出来ていなかった。
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