戦場のアリア

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従者デュオ=ソリストの1日は、アリアを起こすことから始まる。 新雪のように柔らかそうなベッドの上のシルクの雪原で寝息をたてる少女がいる。 窓から射し込む朝日は雪原を純白に輝かせているが、暖かな布団は余程寝心地が良いのか、少女…アリアは一向に目を覚ます気配がない。 「アリア様、起きてください。」 気持ち良さそうに寝具へ体を埋める少女の肩を揺らし、デュオの1日が始まりを告げた。 「あと…5ふん…」 「ダメです。起きて下さい」 「あさ…ごはん…?」 「はい。用意は出来ているとのことです」 「じゃあおやすみなさい…」 「何でですか!」 再び布団に潜り込もうとするアリアを引っ張りだし、滑らかな肌触りの細かい刺繍が入ったこの国の伝統衣装に袖を通させる。 また戦いが始まるのか、とデュオは思った。 「今日も戦争なの…?」 どうやらアリアも同じことを思ったらしく、不安そうな声を上げた。 「はい、そのようです」 デュオは俯き、唇を噛み締めながら消え入りそうな声で呟いた。
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