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「お前は良いな。
音楽の事だけ考えていられて。
俺は、
お前とは・・っ違う・・からな・・・。
」
そう言いながら、
柚木は、
段々と顔を歪ませ苦渋の表情になっていく。
家では、
婆様の言いなり、
何においても、
兄達よりは目立ってはならない。
家柄の体面を、
決して汚してはならない立場。
それが、
柚木。
「なぁ?俺の立場お前は分かるか?志水・・・」
その、
あどけない寝顔に問い掛け、
ふと、
我に返り馬鹿な事をした、
と思い直し、
フルートをしまい練習室を出ようと歩き出した矢先、
だった。
「先輩・・・もっと・・自分を・・出したら・・少しは・・楽になれる・・と・・思います。
音・・乱れてたの・・色々・・溜まって・・たんですね。
」
起きたばかりの寝ぼけた眼で、
しかし、
しっかりその蒼い瞳で柚木を見上げていた。
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