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3人が去ったのを見た彼は僕のもとに駆け寄ると手を差し出してくれた
「ハルカ大丈夫か?」
「うん…特に怪我はないよ…ありがとう」
僕はそう言うと彼の手を借りながら立ち上がった
「全く…朝っぱらから災難だったな…」
「大丈夫だよ…いつもの事だから…」
僕は制服についたゴミを払うと改めて彼の顔を見た
まるで鋭い目つきとライオンのたてがみのようにツンと立った髪をした彼は一見怖そうな感じがするが根が優しいのは目でわかる
「どうしたハルカ?まさか怪我とかしたのか?」
と、また僕の身を心配してくれる彼の名前は『早川 高虎(ハヤカワ タカトラ)』、僕が通っている学園の小等部からの友人でいつもこうして助けられている
「大丈夫だよ。ありがとうトラくん」
僕がそうお礼を言うとトラくんは複雑な表情をしながら僕に注意をした
「ハルカよぉ…流石に16になって『トラくん』はやめてくれねぇか?ちょっと恥ずかしいんだが…」
「あ、そうだったね…ごめんごめん」
僕は少し笑いながら謝るとトラくん…もといタカトラも笑って許してくれた
「さてと…学校行かねぇとな」
「うん…」
「おいハルカ…いきなり『ボロ雑巾になったボクサーのような表情』はやめろよ…気持ちはわかるがもう少しテンション上げようぜ?」
「うん…でも…」
タカトラは励ましてくれたが僕はため息を1つ吐いた…
「おいおい…お前『男』なんだからしっかりしろよ…」
「で、でも…学園に行っても僕はイジメられちゃうし…何より今日は『眷属召喚の儀』だよ?ただでさえ落ちこぼれの僕が召喚なんてできっこないよ…」
「お前、そのネガティブ思考は何とかならないのか…って何度も言って治らないから難しいか…」
タカトラはそう言うと僕の頭に手を載せてから僕に笑いかけた
「大丈夫だって!!いざとなったら俺が助けてやるから気にすんなって!!」 ワシャワシャ
「た、タカトラ…痛いよ…」
僕がそう言うとタカトラは「悪い悪い」と笑いながら頭から手を離してくれた
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