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壇上に立っている先生は体格がとても良く「偉丈夫」という言葉がしっくりくるような人だった
「これから君たちが行うのは『マテリアル技法』である。私はこの授業の担当の藤井長門(フジイ ナガト)だ、よろしく頼む」
藤井先生はそう言うと軽くだけど僕ら生徒の方に頭を下げてから、もう一度僕たちの顔を確認するようにゆっくりと見渡した
「本来だったら1人1人自己紹介でもしてもらいたいのだが…人数が多いし、時間が足りないのでゆっくりと覚えていかせてもらう」
ツンツン…
「ん?」
「(コショコショ)おい、ハルカよぉ…ちょっと確認したいんだがあの先生のナガトってどう書くか覚えているか?」
藤井先生の名前…?
「確か…『長い門』って書くけど…」
「それが一体どうしたの?」、と僕が聞く前にタカトラが納得した様に頷くと小声で言った
「なるほど…つまりこれから『ナガモン先生』って呼べばいいんだな!」
「誰が『ナガモン』だ!!」
えぇ!?聞こえてた!?
僕は大声の元である藤井先生の方を向くと藤井先生はこめかみをヒクつかせながらタカトラの方を睨んでいた
ちょっと待って…確か僕とタカトラがいる位置は先生の立っている壇から奥の最後尾辺りだよ。そこからだと僕らの会話は分からないはずだよね?
僕はそう思いながら頭の中に「藤井先生は地獄耳?」という情報を加えつつ藤井先生の話を聞いた
「確かお前は早川だったな…!!言っておくが私は『ナガモン』ではなく『ナ ガ ト』だ!!毎回、毎回、間違えられてしまうからもう一度言うぞ!!私の名前は『ナ ガ ト』だ!!今度間違えたら成績下げるからな!!」
「せんせ~それ『職権濫用』ってやつじゃないですか?」
あ、うん僕も思った。ありがとうまだ名前も覚えていない生徒くん
「名前間違えられない為の措置だ気にするな!!」
いや…「気にするな」って無理ですから…
多分、他の生徒も内心同じツッコミしているのを無視するように藤井先生は咳払いすると再び授業の説明に入った
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